関節リウマチの初期症状、たとえば手のこわばりや痛み、関節の腫れが出現した頃から、患者さんの多くは総合病院や整形外科を訪れると思います。
その際、血液検査を行い、炎症反応CRPやリウマトイド因子が陽性かどうかで関節リウマチを診療しようとする誤った対応をされることがあります。海外でも日本でも、関節リウマチを疑った場合には、専門医を受診し、確実に診断を受けるように推奨されています。
また、血液検査を行ったとしても、初期には陽性反応が出にくいことがあります。実際に当院の患者さんの中には「以前、整形外科でリウマチではないと言われた」、「血液検査でリウマチ因子が陰性だったから放っておいた」とおっしゃる方も多いのが現状です。
「リウマチとは」のページでも述べましたが、関節リウマチは炎症を放置しておくと、次第に軟骨や骨が破壊され、骨の変形が始まります。
そのためリウマチの治療は、できるだけ早く炎症を発見し、いかに炎症を取り除くことができるか、まさにスピードがカギとなります。
リウマチの診断を受けたら、すぐにリウマチ専門医に相談し、適切な治療を受けてください。
リウマチの診断基準は2010年より右記のスコアリングシステムによる分類基準が用いられるようになりました。この表の通り血液検査や炎症反応のスコアは決して高くありません。 リウマチの治療を始めるには、関節を丹念に触診することが不可欠であり、腫れのある関節、圧痛のある関節を専門医が把握する必要があります。
また、このスコアリングで6点以上であっても、類似する関節疾患を確実に鑑別しなければなりません。当院および関連病院で以前調査したところ、別表のとおり関節リウマチ以外の患者さんが多数鑑別する必要がありました。
本来、早期に治療できるはずの患者さんを見逃さないためにも、当院では全ての患者さんに対して56ヵ所に及ぶ関節を触診しています。例えばスリッパに履き替えて受診いただくのも、足の指の関節をチェックするためです。実際に「外反母趾だと思っていたらリウマチだった」という患者さんもいらっしゃいます。
当院では、血液検査のほか、関節圧痛による評価、ケースに応じてデジタルラディオグラフィーシステムや超音波機器による高度な検査を行い、リウマチの診断がつき次第、患者さんとともに治療方針を策定していきます。
かつてのリウマチの治療は、抗リウマチ薬やステロイドを用い、患者さんの痛みの減少を目安に、医師が寛解(症状が収まること)の判断を行っていました。しかし、痛みが取れたとしても炎症が残っていればリウマチの症状はどんどん進行してしまいます。
しかし、現在は抗リウマチ薬(免疫抑制薬、MTXなど)および生物学的製剤の開発により、早期に炎症を抑えることが可能です。当院での治療は、まずメトトレキサートなど従来型の抗リウマチ薬を用い、その効き具合を見ながら生物学的製剤に切り替えて炎症を取り除いていきます。
現在、リウマチ治療に用いられる生物学的製剤は7種類ありますが、これらの薬にはそれぞれ特徴があり、導入にあたっては薬の特徴と患者さんの症状との見極めが大切です。当院では、これまで数多くの診療実績があることから、患者さんの年齢や症状、副作用や感染症のリスクをデータ化しており、患者さん1人ひとりに合った薬を用いています。患者さん個々の背景に応じて薬を判断しており、当院の取り組みは欧州リウマチ会議でも取り上げられています。
生物学的製剤 | 投与間隔 | 投与方法 | 認可年 |
---|---|---|---|
レミケード® | 8週毎 | 点滴 | 2003年 |
エンブレル® | 1週毎 | 皮下注射 ※自己注射可 | 2005年 |
アクテムラ® | 4週毎 | 点滴 | 2008年 |
ヒュミラ® | 2週毎 | 皮下注射 ※自己注射可 | 2008年 |
オレンシア® | 4週毎 | 点滴 | 2010年 |
シンボニー® | 4週毎 | 皮下注射 | 2011年 |
シムジア® | 2週毎 | 皮下注射 ※自己注射可 | 2013年 |
ゼルヤンツ® | 1回1錠 1日2回 |
内服薬 | 2013年 |
また現在は、寛解を判断するための客観的な評価方法が確立されています。
DAS28、SDAI、CDAI、HAQやRAPID3など多数の客観的基準に基づいて治療を行うことになっています。これらの基準では、治療前と治療開始後の活動性に有意差がつきやすいため、初期の効果や再燃の有無をみるのに適しています。しかし、「関節の炎症をなくす」という実際の患者さんの目標をクリアするには、より深いレベルでの基準を用いる必要があります。当院では、腫れている関節、痛みのある関節が1箇所以内という基準を用いることで、再燃しない治療=薬に頼らず「休薬」できる治療をめざしています。
生物学的製剤にはそれぞれ効果の出現の仕方に特徴があります。また本製剤は高価であり、これを使い続けることは患者さんにとって大きな経済的な負担となります。また、薬を使うことによる感染症リスクにも注意を要します。
そのため当院では、薬の特徴を捉えて早期寛解をめざし、寛解後およそ半年で休薬へ導くことを治療の柱としています。
リウマチは未だ一生関わらなければならない病気です。だからこそ、休薬したら患者さんには一切リウマチのことを忘れて生活してほしい。もし、休薬後に何か不具合が生じたら、いつでも当院を訪れてくれればいいのですから。
受付時間 | / | 平日 午前 8:15~11:00、午後13:30~17:00 |
土曜 午前 8:15~12:00 | ||
休 診 日 | / | 木曜、土曜午後、日曜、祝日 |
所 在 地 | / | 横浜市港北区新横浜3-20-3 リバサイドビル4階 |